コンクリートで表現された地域のくらし

アート

鶴川プロジェクト
レイチェル・ホワイトリード【Kunisaki House】(2022年)

国東半島の歴史・文化を感じられる場所や海岸線に沿った場所にアートが点在する中、最新のアートは国東市の中心部、鶴川地区にあります。

鶴川商店街の先に現れるのは、イギリスの現代彫刻家レイチェル・ホワイトリードさんによる日本初の常設作品【Kunisaki House】。

レイチェル・ホワイトリードさんは家具や扉、空間そのものを大分県コンクリートで型取りして可視化するアーティストで、Kunisaki Houseも同じ手法で古民家を再現しています。

Kunisaki House

「この作品は、国東市の中心部に当たる鶴川地区で、10年以上空き家となっていた民家の内部をコンクリートで型取ったものです。玄関や居間、神棚と仏壇が横並びになった座敷などを型取りすることで、この家の日常や地域特有の暮らし、そしてそこに存在していた空気や気配に形を与え、永遠にこの場所に留めようとしているかのようです」


この家が実際にあった場所で、障子や襖の取手など細部までくっきりと型取られて家の中が再現されていることがとても興味深い作品です。

私の家の神棚と仏壇も横並びになっていますが、子供の頃から当たり前すぎて、不思議に思ったことはありませんでした。Kunisaki Houseについて書かれたものを読んで初めて、当たり前と思っていた生活が神仏習合文化によるものだったということを知りました。こんなに身近に興味深い文化があるのに、目を向けようとしなかったことが恥ずかしい…!

Kunisaki Houseの周辺にある、国東半島の歴史を知ることができる場所もご紹介します。

Kunisaki Houseから徒歩5分ほどのところに、六郷満山霊場 第24番札所・興導寺があります。興導寺は959年に空也上人が開いた天台宗のお寺です。口から6体の阿弥陀仏が現れている空也上人像を教科書などでご存知の方も多いはず。

さらに興導寺から歩いてすぐの場所には古興導寺跡と言われる空也池があります。

石橋を渡ると空也上人のお墓があり、この池では心の断捨離ができるとも言われています。

私が初めてKunisaki Houseを見たのは、設置されて数ヶ月後の帰省した時でした。

面白い作品だと思いつつも、子供の頃から慣れ親しんだ場所なので「どうしてここに作ったの?」が正直な感想でしたが、こうして地域の歴史や残していきたい文化を知って納得。子供の頃の記憶や思い出もよみがえります。

近年、Kunisaki House周辺は人口減少が進んで空き家が増えていますが、空き家を活用して絵本中心の本屋さんや食堂がオープンし、少しずつ賑やかになってきました。

また、Kunisaki Houseの向かいには築100年以上の古民家を改修した「鶴川商店街周辺観光・交流拠点施設」がオープンしました。

コワーキングスペースのほか、飲食や物販などのチャレンジショップや作家の方の作品展示、落語会なども開催されています。

施設には、棚の扉や引き出しを開けると国東にまつわる音が流れてくる「図音館」もあり、音を楽しみながら国東を体験することができて、おすすめです!

Kunisaki Houseや鶴川商店街周辺観光・交流拠点施設の周辺はのんびりとした時間が流れています。季節の空気を感じながら散策ができるので、ぜひ一度訪れてみてください!


Kunisaki House
大分県国東市国東町鶴川
大分空港から車で約15分
駐車場あり

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